かつてWeb担として勤務していた会社では、だいたい月8万の予算で50~200万程度の売上を出していました。
これは業種による影響も非常に大きいため一概にはいえません(たとえば顧客1人あたりの見込み収益単価が数万円あるとか)。この点で一部のECサイトにはこの考察は向かないかもしれませんね。
それでもぶっちゃけた話、AdWordsで成果を出すことはそんなに難しくないと思います。
要は「垂れ流し」と「水漏れ」を防げばいいだけ。ところがこれをやってるように見えないケースがとても多いように思います。そりゃGoogleも儲かるわな。
目次
Google AdWordsとは?ウェブ広告の使い方と成果の見方
おそらく最もポピュラーなインターネット広告の一種だと思いますが、Google AdWords(アドワーズ)に代表されるウェブ広告の一種に「リスティング」と呼ばれるものがあります。
別名「PPC広告」とも呼ばれます。
PPCとは「Pay Per Click(ペイ・パー・クリック)」のイニシャルで、クリックごとにペイ、つまり料金が発生する形態を意味します。
リスティング(PPC)広告は検索結果画面の最上段に表示されるため、「一等地を買う」に等しいものだと説明されることが多いですよね。
多くの人や企業はこの言葉の前半、「一等地」にのみ注目してその後ろの「買う」ことに対してあまり理解していないように思います。
リスティングだけに限りませんが、広告をクリックして流入があると企業には出費が発生します。自然検索流入であれば一切かからなかった「コスト」が出ることをどれだけ真剣に捉えていますか?
その答えはコンバージョンレート(CVR)に表れます。一等地に自社サイトへのリンクが表示されるのをいいことにリスティングをばらまいている場合、CVRは1%を切っているんじゃないでしょうか。
もし自分だったら、CVRが1%に届かない広告は打ち切ります。(表示回数/クリック数共に7桁に届くような大規模なキャンペーンは除く)
きちんと最適化してあればボリュームの小さなキーワードでももうちょっと期待値は高く見積もれるはずなんですよね。
リスティング広告はターゲットを厳密に絞ってこそ威力を発揮する
Organic Search(自然検索)を対象としたアプローチである「SEO」と違い、PPC広告はPaid Search(有料検索)を対象としています。
最適化手法としてはサーチエンジンマーケティング、SEMと呼ばれます。
対象が異なるため最適化の方法も少し違った視点を持つ必要があります。
もうちょっと具体的に目的を定義してみます。
自然検索を意識したSEOの場合、「少しでも多く露出させること」を最初の目標とします。
対する有料検索では、「最小限の露出でコンバージョンレートを最大化する」ことを目標とします。
おわかりですか?
Paid Searchを最適化する際は露出を抑えるプロセスが発生するんです。この点だけはSEOと真逆といえるはずです。
なぜ露出を抑える必要があるか?それは単純にコストカットのためです。
はっきり言っちゃえば、コンバージョンの見込みがない人には押してほしくないんです。
ブランドイメージ向上のために赤字覚悟で無制限に広告を出せるのは体力のある大企業だけです。多くの中小零細企業の場合、そんなことをやっていてはブランドイメージを浸透させるまでに会社が存続できないかもしれません。かといって、小規模な予算でチマチマ出稿していてはイメージは広がりません。無駄に垂れ流せる余裕などない、あってもここにつぎ込むべきではないところがほとんどでしょう。
さて前置きからちょっと引っ張りすぎた感があるので、そろそろ具体的にやるべきことを解説します。
Google AdWords最適化のファクターとは
コーポレートサイトを宣伝する場合、自社の業務形態に沿った形式にしておかないと無駄が発生します。
たとえば美容室やエステサロンのように、顧客に店舗まで足を運んでもらって営業する場合、遠すぎる位置にいる人に広告を見せる意味はありません。
東京にお店を出したのに北海道在住の人に広告を出してもコンバージョン率はゼロでしょう。
こういう場合、広告を出稿する地域を指定します。
AdWords管理画面より設定したいキャンペーンを選択し(広告グループではなくその上位のオブジェクトです)、「設定」タブより「地域」を選択します。
その下の「+地域」という赤いボタンをクリックすると、そのキャンペーンを出稿するエリアを指定できる画面になります。
おそらくデフォルトでは「日本」が指定されているんじゃないかと思います。このまま運用を開始すると、日本全国どこにいても広告が出現する可能性があることになります。
それでは広すぎる場合、一旦削除しちゃってもいいですが変更することもできます。右側の「付近」というリンクをクリックしてください。
するとこういう地図付きの画面になるはずです。
右上よりエリアの指定ができます。画像では、
- 「半径を指定」タブに切り替える
- 「品川駅」で検索 ← 検索した場所が”中心”になります
- 数値を「20」にする
- 単位を「キロメートル」にする
と入力しました。
このまま保存すると、このキャンペーンに含まれる広告は品川駅から半径20キロメートル以内にいる人が検索した時にしか表示されません。
地域密着型の企業は特にシビアになるべし!
広告表示エリアの設定は費用対効果に直結します。
特に、地域色の強い業態の場合はそれが顕著だと思います。たとえば歯医者さんとか、花屋さんとか、食堂とか。
このような業態で店舗が1つだけの場合、次のように考える必要があります。
たとえば店舗を品川駅前に構えている歯医者さんが、大雑把に「東京23区」を広告表示エリアにしたとします。でも八王子からわざわざ品川まで歯の治療に来る人っていると思いますか?もっと近くにある別の歯医者さんを選ぶのが普通ですよね。
このように業態によっては県単位、市単位でも無駄が出てしまう可能性があります。見てほしい人にきちんと配信するために、この歯医者さんがすることは何でしょうか。
もし自分がこの歯医者さんのWeb担なら、まず、近所の他の歯医者さんを調べます。そして「この距離ならウチを選ぶかもしれない」という範囲を大雑把に決め、指定します。
範囲があまりにも狭い場合(上の画像で示した20キロとか)や他のエリアにも広告を出したい場合は、エリアごとに「キャンペーン」を複数作ります。
キーワードでも相乗効果を狙う
上記の歯医者さんの場合、既に東京23区に向けて広告を出していますよね。
その広告を出すキーワードの指定も、結構大雑把で「歯医者」「歯科医院」などの固有名詞を中心に、部分一致にしてヒット率を上げていたとします。
この指定は間違ってはいませんが、改善点があります。部分一致指定のキーワードは、たとえ一致しても広告が出てこない場合があることはご存知でしょうか?
そのキーワードで検索された時に確実に広告を表示したいのなら「完全一致」を使用します。
つまり、「歯医者」を部分一致で登録しておいて幅広い検索ワードの組み合わせをカバーしつつ、「近所の歯医者」を完全一致で登録することで、店舗の付近にいる人が検索した時に確実に自分の医院の広告を表示させるように手を打つんです。
もうちょっと範囲を広げたいなら「近所 歯医者」の完全一致と「歯医者 近く」の完全一致を両方出す、というように、ピンポイントなキーワードを増やします。
ここで重要なのは、対象者(広告を見るユーザー)が近所に住んでいる必要はない、という部分です。
「歯医者 近く」の検索意図を想像する場合、近所に住んでいる人を対象と考えてしまいがちですよね、でもその場合、近所付き合いがあればウェブ広告を出さなくても皆知ってるケースも少なくないと思います。
ですが、次のような例はいかがでしょうか。
- 事情があってかなり遠くから子供を保育園に送り迎えしている時、突然歯の痛みを訴えた
- 単身赴任で近くのマンションに越してきたばかりで急に銀歯が取れた
- 久々の連休で孫を連れて帰省してきた子たちが、孫の歯列矯正を両親から勧められた
こうしたケースはイレギュラーといえるものですが、それでも可能性はゼロではなく、頻度は低くても確度はかなり高いものといえるはずです。また、地域ぐるみの付き合いが希薄になりがちな都会とその付近であれば、「近所の歯医者」を検索する可能性は更に若干高まるかもしれません。
このように、「その検索を行った人は何を思い、どういう意図を持っているのか」という検索意図を想像する力はアクセスアップをする上で欠かせないものです。
そして表示させた以上は確実にクリックしてもらうことも考えなくてはいけません。
顧客の獲得率も最適化する
ここまでの話が広告の展開条件の最適化とすると、ここからの話は集客率(CTRおよびCVR)の最適化です。
いくら自分のビジネスに最適化しても、ライバルがいなくなるわけではありません。特にリスティング広告は出稿するキーワードを好きに選べるため、競合他社の指名検索ワードにあえて表示することで検索結果画面の最上部を奪うようなケースも少なからず存在します。
一時期はこれを防ぐために指名検索ワードにも広告を出すようにと言われていましたが、今回紹介したようなケースでは競合先が存在しない、または存在してもごく少数となることが多く、無闇に指名ワードを入れてしまうと、本来オーガニック経由で入ってきたはずの流入が有料検索に移ってしまい、無駄な費用が発生してしまうことがあります。
このため心配な場合は定期的にエゴサーチを行い、指名検索ワードに他社広告が表示された場合のみ追加するといった工夫を加えると良いかと思います。
また、クリック単価の設定も大切な要素です。
ここにもひと工夫加えることで出費を最小限に抑えることができるのですが、少々長くなりすぎたため改めてご紹介したいと思います。
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