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アトリビューション分析は、まず何からやるべきか

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アトリビューション分析の基本と考え方

この記事は運営堂様のメールマガジン(毎日堂)で紹介されました!

巷でよく聞くデータドリブンという言葉。

日々ますます肥大化していくデータを分析し、顧客行動や心理を想定して対策を施すことで成果へと繋げるための高度なマーケティング戦略の1つです。直訳だと「データ志向」とかになるらしいです。

そうしたデータドリブンマーケティングも、今後のWebマーケティング担当者には必要なスキルとなってゆくでしょう。

でも、それはあくまで規模が(かなり)大きなサイトでの話。中小規模のサイトでは最も大切な接点を絞り込んで評価する、アトリビューション分析を先に行います。

今回はデータを細かく評価する手法の1つ、アトリビューション分析についてご紹介します。

チェックポイントがゴールに与える「貢献度」を可視化する

アトリビューション分析は、ユーザーが辿った経路を調べてチェックポイントごとの貢献度を可視化し、それぞれの要所を個別に評価する作業です。

つまり、そのポイントがゴール(=CV)に対しどれだけ貢献したか、またはどの接点が一番貢献したかを見つけ出す作業です。

チェックポイントになるのは主にユーザー(訪問者)が行動を開始した地点です。

概要はこんな感じですが、正直めっちゃ複雑です。ちなみにデータドリブンマーケティングでは全ての接点を評価するのでもっとゴチャゴチャしますw

最初からあれもこれもできるわけもないので、まずは次の作業からはじめてみましょう。

コンバージョンとトランザクションの違いを理解する

コンバージョンを見つけたにゃんこ
Google AdWordsやYahoo!プロモーション広告に代表されるウェブ広告のゴールである「コンバージョン」と、Google Analyticsにおけるゴールの1つ「トランザクション」の数字が一致しないことは周知の事実かと思います。

なぜ一致しないのか、それはコンバージョンとトランザクションは評価する接点が違うからです。

ここがまさにアトリビューションの概念を考える際の最初の一歩目にあたると思います。

結論からいきましょう。

Google AdWords等のコンバージョンは「ラストクリックモデル」を使用することが多いはずです。

一方でGoogle Analyticsのeコマーストランザクションに代表されるゴールモデルは「到達ページ」となることが多いと思います。

この2つがどの地点のことを指しているのかさえ知っておけば、混同は避けられます。

ラストクリック=最後にクリックした「入口」

これが大原則です。

ラストクリックモデルとは、最後にクリックした「入口」を評価するモデルです。

最後にクリックしたURLではありません。これだけで朧気でもイメージできると思います。

アトリビューション接点の概念

解説でよく使われるのがこんな感じの図です。

この図におけるラストクリックとはどの地点のことでしょうか。

言葉に騙されると「コンバージョンが発生したページ」と誤解してしまうかもしれませんが、正しくは「コンバージョンが発生した経路の出発地点」となります。

つまり、この図におけるラストクリック(コンバージョンをカウントする場所)は3回目のリマーケティング広告です。

ただし注意点が1つあります。それは、広告ツール(AdWordsやYSS、YDNなど)が計測できるのは自身が提供した広告のみという点です。

この図でいうと、1回目がGoogle AdWordsのリスティング広告、3回目がYahoo!ディスプレイアドネットワークのリマーケティング広告だった場合。GoogleはYahoo!のクリックを把握できませんし、Yahoo!はGoogleのクリックを把握できないため、両者ともにラストクリックモデルを用いているのであれば、Google AdWordsは1回目のリスティング広告にコンバージョンを1カウントし、Yahoo!ディスプレイアドネットワークは3回目のリマーケティング広告にコンバージョンを1カウントします。つまりコンバージョンが2個つくことになります。

しかし広告をクリックしたら即座にコンバージョンが発生するわけではありませんよね。

到達ページ=特定のページ(URL)を表示した時

コンバージョン経路の例

だいたいの場合、訪問後にこんなふうに複数のページを経由してコンバージョンに至るはずです。

今回のケースでは予め商品をカートに入れてあるので商品ページは挟まないかもしれませんけど、大まかな道筋は一致するはずです。

Google Analyticsにおける「到達ページ」は、この経路の一番最後の「購入完了ページ」を指しています。

対してラストクリックモデルを使用した広告の場合、この経路の一番最初の「ランディング(ページではなく行動開始タイミング)」を見ています。

ほら、見る場所違うでしょ。

コンバージョンに至ったクリック

Google AdWordsを昔から使っている人なら「コンバージョンに至ったクリック」って言葉を目にしたことはないでしょうか?感覚的な話をするとそういうことです。

図にするとこんな感じです。

4月1日に広告をクリックしてサイトを訪問し、購入(コンバージョン)には至らずに離脱。
4月3日、自然検索など別のチャネルから再訪問し、購入(コンバージョン)に至った場合。

この時に計測されたCookieIDが同じならば、広告側は「入口」となる4月1日にコンバージョンをカウントします。

対してGoogle Analyticsではコンバージョンページに到達したタイミング、4月3日にトランザクションをカウントします。なお、4月3日の流入源は自然検索なので、GAではOrganicチャネルにトランザクションがカウントされることになります。

Google AdWordsのコンバージョン計測期間

遡ってカウントするため、Google AdWordsのコンバージョンタグには計測期間が設けられています。これはGoogle Analyticsのセッションとは別物です。

このためGoogle AdWordsやYahoo!プロモーション広告は、過去に記録された数字が増えることがよくあります。毎月1日のタイミングで月間の成果を確認しても、10日ごろまた見るとCV数とかが違っているわけです。定点観測は難しい……というか、無駄とはいかないまでもあまり意味のある数字とはいえないかもしれません。すぐ変わるから。

あくまでも「レポートを作成したタイミングではこうだった」というデータになるわけです。

これがGoogle AdWordsなどでよく使われる「ラストクリックモデル」の正体です。GAのトランザクションのほうがシンプルですが、貢献度を測る上でラストクリックモデルはとても優秀です。同時に複数の広告を使っていたり、ユーザーインテント(検索ニーズ)の異なるキーワードに同じ広告を出している場合、どの「入口」がコンバージョンに直接貢献したのかをCV数から朧気に見ることができます。

ただ、ラストクリックモデルの場合コンバージョンがカウントされるのはコンバージョンが発生したタイミングではないので、たとえば週間や月間での販売個数などを記録している場合はGAのトランザクション数を使う必要があるでしょう。

具体的には、Google AdWordsでは数十件のコンバージョンがついていたので「今月は調子がいいぞ!」と思ったとします。しかし月が変わってGoogle Analyticsで売上を見てみると、トランザクションが3件しかついておらず金額もかなり少ないなんてことは普通に起こり得ます。

もしもAdWords側のコンバージョン数だけを見て予算を増額などしていたら、きっとROAS(投資収益率)は100%を割り込んでしまうでしょう。つまり赤字が出ます。

これについては「アシストコンバージョン」を理解する必要があります。今回は思い切ってそこまでやっちゃいましょう。

アシストコンバージョンを知る

個人的にはこの「アシストコンバージョン」の概念さえ掴めれば堂々と「アトリビューション」という言葉を使えると思っています。

Googleアナリティクスでコンバージョン経路を調べる

ちょうどこのアシストコンバージョンの概念をとても簡単に掴める画面がGoogle Analyticsにあります。

コンバージョン→マルチチャネル→コンバージョン経路 です。

なおこの項目を使うにはGoogle Analyticsで「eコマースの設定」や「目標」を指定している必要があります。端的にいうとGAで計測できる何らかの「コンバージョン」がなくてはならないわけです。

ここではアトリビューション分析で見る「接点」が可視化されています。

オーガニック検索というのが自然検索、つまり広告ではない部分、よく皆がSEOと呼ぶものからの訪問です。(ただしより厳密にはSEOと自然検索はイコールではありません。これについてはSEOの基本の紹介をどうぞ)

有料検索というのは有料の検索、料金が発生する検索、すなわちリスティング広告を指します。

ノーリファラーとはリファラー(参照元)が無い、つまりどこから来たか不明の流入です。参照元をつけようがないブックマークからの訪問などもここに含まれます。

この画面ではMCFチャネルグループの経路を表示しているため、接点がチャネルになっています。参照元/メディアパスを指定することで google / cpc と yahoo / cpc とを分けて見ることもできます。

さて、この画面で注目すべきは「先頭に有料検索がある経路」かつ、「最後が有料検索ではない経路」です。

画像だと5番と9番です。もうおわかりでしょうか。

この経路を辿った場合、「コンバージョン」は有料検索(=広告)側にカウントされます。そして「トランザクション」は「ノーリファラー(5番の経路)」と「オーガニック検索(9番の経路)」にカウントされます

仮にこの5番と9番の経路における有料検索をどちらもGoogle AdWordsのリスティング広告だとしましょう。

その場合、Google AdWordsには「コンバージョンが2件」カウントされます。

しかし今述べた通りGoogle Analyticsでは「ノーリファラーとオーガニック検索」にトランザクションがつくため、GAの有料検索にトランザクションはつきません。

後日追記

重大なことを忘れていました。
直近の接点がノーリファラーの場合、参照元は1つ前のセッションが代用されるんでした。
なので5番の経路では有料検索にトランザクションがつくことになります。

売上もノーリファラーとオーガニック検索チャネルに紐づくため、後日GAで有料検索の成果を見ようとするとブッたまげるほど少なくなっていることになります。

しかし、何度も言いますがコンバージョンがなくなったわけでは決してありません。他のチャネルに紐付いているため、ウェブサイト全体の売上は変わりません。全体の成果の中の「有料検索のみの成果」が小さく見えるということです

このへんややこしいので、ECの担当者は特に注意が必要です。たとえ有料検索単体での成果が悪くとも、アシストコンバージョンによって他のチャネルの成果を押し上げているのであれば、有料検索のウェブサイトに対する「貢献度」は高いことになります。

単体の成果だけで判断して広告を止めたり予算を減らしてしまうとサイト全体の成果が落ちてしまう可能性もあります。

こうしたことを把握するために、「コンバージョン」と「トランザクション」の違いを把握し、両者にどれくらいの差があるのかを把握することが大切です。

ちなみにアトリビューションやアシストコンバージョンの概念はこれだけではありません。Google AdWordsにもアシストコンバージョンの概念はあって、キャンペーン間における貢献度などを計測することもできます。

また継続した計測ができないケース、たとえばクロスデバイストラッキングの設定をしていないサイトでは、広告経由でPCから訪問した後でスマホの自然検索から再訪問した人は別のセッションとして扱われてしまうため、結果にズレが生じることもあります。

こうしたことも紹介したいのですが、長くなったので今回はここまで。お付き合いいただきありがとうございました。

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