テクノロジー観測所

Technology Observatory(テクノロジー観測所)は"初心者を卒業した(い)"人を対象とする情報サイトです。

考察:現代版SEOのゴールとは?

この記事は約7分21秒で読めます

SEO対策にとって、何をすることが最終的な目的となるのかを考えてみます。

順位を上げること?アクセス(流入)数を増やすこと?コンバージョン(目標の完了)数を増やすこと?

順位を上げると簡単に言ったって、何の?どのキーワードで?と考えはじめるときりがありません。

また、アクセスが発生してからの最適化は、LPO、EFO、コンテンツマーケティング等個別に考えるようになってきており、SEOと一括りにするのもちょっと違うかなと思います。

では一体SEO担当は何を目指せばいいのか?

自分なりの考えを少しご紹介します。

"流入"はSEOで狙うものじゃなくなってきた

先日Web担当者フォーラムに公開されたこちらの記事はもうご覧になりましたか?

【2017年夏】グーグル検索結果のクリック率データ: 1位は21%、2位は……【SEO記事11本まとめ】 | 海外&国内SEO情報ウォッチ | Web担当者Forum

これは素人に毛が生えた程度の自分にはとても衝撃的な内容でした。

曰く、Googleの検索結果におけるCTR(クリック率)の統計を取ったところ、1位に表示されたリンクのCTRはたった21%しかなかった、というのです。

これまでなんとなく、僕は1位のCTRは40%を超えていると思っていました。そして1位、2位、3位の上位3つくらいで、全体の6~7割のクリックを集めているんじゃないかと想像していました。

しかし現実は全く違いました。使用されたクエリの傾向がわからないため、たとえば誘導率の高い指名ワードや、意図がばらけやすいビッグワードがどのくらい含まれていたのかによって結果は変わる気もしますが、そのへんはわかりません。

あくまで全体の統計と捉えるため多少のバイアスはかかるものの、あまりにも低いクリック率に愕然としました。

さらに、フォーラムにはこうも書いてあります。

また次のような驚くべき結果も出ている。

検索結果の25%~30%はまったくクリックされない
【2017年夏】グーグル検索結果のクリック率データ: 1位は21%、2位は……【SEO記事11本まとめ】 | 海外&国内SEO情報ウォッチ | Web担当者Forum

なんとこの統計によると、検索1位のページのCTRよりも「何も行動を起こさない人」の割合のほうが高いんだそうです。

モバイルファーストの影響でしょうかね、自分も検索しようと思った瞬間に通知が来て一旦キャンセルすることがあります。でもそういうことって稀なはずですよね。

なぜこんなにクリック率が低いのか、それはたぶんGoogleがどんどん複雑化していることと関係あるんじゃないでしょうか。

検索結果画面のリンクの種類

google_search_result

Googleの検索結果にはクリック可能なリンクがいっぱいあります。

この中でCTRに結びつくのは、ほとんどの場合ページタイトルが記載された最も目立つリンクになるはずです。

ですがこれ以外にも、

  • AdWordsリスティング広告のリンク
  • 広告表示オプションのサイトリンク
  • ニュースのカード
  • イベントのカード
  • 画像検索ボックス
  • ナレッジパネル
  • サイト内検索ボックス

など、さまざまな位置にリンクが置かれるようになっています。

Googleの仕組み自体が複雑化したというより、そうした仕組みを隅々まで使ってSEOを行う人が増えたといったほうがいいかもしれません。

というわけで1位のCTRが21%だからといって、必ずしも「2位~10位までが残りの79%を集めている」わけではないことには注意が必要です

以上、ちょっと長くなりましたが前置きはここまでです。ここから本題。

何をもって「最適化」というのか──現代SEOの定義

Search Engine Optimization、SEOとは、直訳して「検索エンジン最適化」を意味する言葉です。ちょっと前はSearch Engine Organizationともいわれていたように思います。

では、「最適化された検索エンジン」とはどのような状態を示すのでしょうか?

多くの人がここで間違えている気がします。というより、昔の風習から抜け出せていないと感じています。

これまでのSEOにおける理想像
検索した時に自社(あるいはクライアント)のウェブサイトのページが上位表示される状態を目指す。

更にタチが悪い場合、「ビッグワードで上位表示を目指す」などと言っている人すらいます。(←無理です

現在のSEOにおける理想像
検索した人が欲しがっている情報が出てくる。

この両者の違いがどこにあるかというと、検索エンジンに対する主点、軸となる部分です。

ひと昔前までは、メタキーワードやサテライトによる外部リンクの購入などによって強引に順位を上げることができていたため、SEOの目的がウェブサイト側にありました。

しかし、度重なるアルゴリズムアップデートによって不正行為(=コンテンツの質で勝負しないSEO手法)を見抜けるようにクローラが成長した結果、現在の検索エンジンの最適化の定義はユーザー側(=検索を行う人の視点)にシフトしてきていると感じています。

検索エンジンは検索を行う人が満足できるように構成することを目指している、と捉えて良いと思うわけです。その基準で順位が決定される場合、ではどうしたら目に留まる位置に自社(あるいはクライアントの)サイトのページを持ってくることができるでしょうか。

WikipediaがSEOに強い理由

google_search_result_wikipedia

ウェブ上の百科事典、Wikipediaは、特に名詞を用いた検索時に高確率で高い順位を獲得していると思います。

その秘密がどこにあるか、僕としてはWikipediaのフォーマットが大きな要因ではないかと感じています。

Wikipediaを開くと、ほとんど全てのページで一行目に次の言い回しが使われています。

○○とは、××である。

1点補足しておくと、この「○○とは」の部分には検索キーワードが入ります。

いわゆる「とは検索」に代表されるように、検索とは何かしらの答えを探す意図で行われることがとても多い行動です。

つまりWikipediaは、検索者が知りたい「答え」を真っ先に返しているんです。

ウェブライティングを行う時、紙の文章との最大の違いとして起承転結を使わないというのはよく聞く話だと思います。ウェブの文章は結論を最初に持ってきて、その後ろに理由や補足、解説を入れる構成となります。ちなみにこの手法を「竜頭蛇尾(りゅとうだび)」といいます。

検索結果画面で上位表示されるために必要な条件が「求められた答えを正確に返せること」にあるのなら、この手法は大いに参考になるはずです。

検索意図を正確に想像できる人材は強い

ピンポイントで意図を想像し、「このキーワードを使った人は何を求めているのか」を予測、それに合わせてコンテンツを作成していくことがこれからのSEO対策の主流になると思います。

少々余談を挟むと、この作業はツールやAIがどれほど進歩しても決して補えないと僕は考えます。

人間の複雑な心理・感情を伴う"思考"を読むことは同じ人間にしかできません。棋譜の中に特定のパターンを見いだせる囲碁や将棋とは話が違うはずです。

しかし、人間であればこの作業は超簡単にできるとも思っています。

検索意図の想像作業の例

たとえば「ギター」というキーワードで考えてみます。

「ギター」で検索を行った人の意図は何でしょうか?

それを考えるために、まず最初に簡単な仮説を立てます。すなわち「自分ならどう思うか?」という仮説です。

  • ギターで弾ける曲の譜面を見たい?
  • ギターを取り扱っているお店の電話番号が知りたい?
  • 有名なギタリストの演奏を聴きたい?

きっと答えは十人十色になるでしょう。なので、この作業は個人よりもチームで行ったほうが良い結果を出せるとも思います。

狙うキーワードが決まったら、このようにしていくつかの検索意図を想像し、それに合わせてコンテンツを作っていくことになります。

注意:これはA/Bテストではありません

このようなディスカッションを行うと、誰かしらがA/Bテスト等を持ち出して「比較」を行いたがりますがその必要はありません。

前述の要領で検索意図(と思われる行動)案が複数持ち上がった場合、それらは全部正解であり、間違いは1つも存在しません。

要は、その時持ち上がった「意図」に合わせてコンテンツを次々に作っていくことが肝心なわけです。このため、1つのクエリに対して10個、20個とコンテンツができあがることになります。

そうすると単体のページとしての評価が分散してしまい、なかなか順位が上がらなくなる可能性はあります。しかし全体として見た場合、1つのテーマで数多くのテールワードをカヴァーしており、ピンポイントで情報を返すことができるため、ユーザーの満足度を大きく向上させることが望めます。

ここでも余談を挟むと、古いタイプのSEOはこうした満足度をおざなりにしたままとりあえず順位だけを取ってしまった結果、直帰率や平均滞在時間などが伸び悩む傾向が強いです。SEO対策について検索すると直帰率改善やLPOのヒントが大量に出てくるのも、その裏付けといえるのではないでしょうか。

現代SEOでは満足度が高まった結果として、サイト全体(=ドメイン)の評価が高まること、そこが1つのKPIとなると考えています。

こうした作業を行うためのリソース(人材、時間、スキル等)が足りない場合、はじめてA/Bテストを行います。すなわち「より多くのユーザーにリーチできる「意図」はどれになるのか」を探し、時間をかけつつも効率よくコンテンツを作っていく作業です。

流行や嗜好など、顧客の好みの変化する「流れ」を追い続ける必要がある

検索意図は人間の思考とリンクしているため、時とともにめまぐるしく変化します。これに対応するためにも、できるだけ多くの「ピンポイントな情報(コンテンツ)」は用意すべきだと思います。

こうして複数のテールワードをカヴァーしつつテーマ全体から見たサイトの評価を高め、結果満足度が向上すると、同じ意図を持ったユーザーは「次もこのサイトで探してみよう」と思ってくれるようになるでしょう。

ここまでいえばわかるかと思います。

僕の考える現代版SEOのゴールとは、指名検索のボリュームを増やすことです。順位でもクリックでもコンバージョンでもなく、指名検索(=自社のブランドワード、具体的には「企業名」「サイト名」による検索)が行われる頻度を高めること、つまりブランドイメージの向上を成功させることが今のSEOのミッションであると考えています。

PV、UU、CVR等は、このミッションを成功させるための通過点です。自社を売り込むためには製品を使ってもらう必要もありますし、サービスを受けてもらう必要もあります。そのために販売目標を立て、サポートやアフターケア・サービスを準備し、顧客満足度を総合的に高める努力を続けます。

ただ、ウェブ集客の観点でいえば、SEOに求められるものは「集客数」から「満足度」にシフトしてきていることを認識する必要がある、という話です。

前置きとしてお話ししたように、今や検索1位の影響力はかなり弱くなっています。極論、アクセスだけが欲しいのであれば素直にリスティング広告を出したほうが効率的とさえいえると思います。リスティング広告は表示場所が決まっており、「検索1位の更に上」かつ「Google検索におけるファーストビュー」に表示できるため順位を気にする必要があまりないですからね。

そんなわけで、今後は今までよりもより具体的でピンポイントなニーズにコミットするコンテンツが量産されていくようになる、のではないかと予測しています。

関連記事

  1. Googleしごと検索が人材業界の闇を暴き出す可能性について
  2. SearchConsoleのAMPエラーの確認、修正、再検証依頼方法
  3. RankBuddy- iPhone and iPad app
  4. PDFを検索結果に表示させたくない時の対処法
  5. PageSpeedInsights

コメントをお待ちしております

HTMLタグはご利用いただけません。