Google AdWordsのリスティング広告で頻繁に競合相手に負ける場合、なんとかして一番上を獲得しようと試行錯誤しますよね。
上限クリック単価(CPC)を引き上げてみたり、品質スコアを上げる方法を模索したり。たいていはCPCを引き上げることで結果的に費用が拡大しているんじゃないでしょうか。
もう一度よく考えてみましょう。その広告は本当に検索結果画面に出す必要があるものですか?
目次
AdWords広告が表示される場面を考える
AdWords広告を運用する上で最もポピュラーと思われるものがリスティング(PPC)、検索結果画面に表示される広告です。
が、これ以外にもGoogleは様々な位置に広告を表示してくれます。例えば、
- YouTubeの動画の再生前や途中など
- Gmailの受信トレイ
- Googleショッピング(検索結果画面)
- ブログなどに埋め込まれた広告表示エリア(AdSense等)
- モバイルアプリに挿入される広告エリア
突き詰めればもっとあるかと思いますが、広告主はこれら全ての場所に広告を出すことができます。
その中からあえて検索結果画面に表示されるリスティング(=検索連動型広告)にこだわり続ける必要が本当にあるかどうか、一度確認してみることをおすすめします。
より高い集客効果を期待できる広告表示場所とは(例)
- たとえば、机や椅子などの「家具」を専門に扱っているショップの場合。
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このようなケースでは、確度の高いユーザーをサイトに誘導するために「机」「椅子」といった商品名と「家具」「インテリア」のようなカテゴリーもキーワードとして加えているかと思います。
しかしこれらには両方とも強力なライバルがいます。たとえば「大塚家具」など社名にそのまま「家具」って入ってますし、インテリア大手の「サンゲツ」も「インテリア」で検索した人が意識しやすいイメージ戦略が世の中に浸透しています。
ただ漠然と「家具がほしい」と考えているユーザーの場合、ブランド等に対する意識が希薄なため、ちょっとでも気になったところに行くでしょう。リスティング広告で1位を維持していれば集客できる可能性はありますが、取りこぼしもかなり発生すると思います。そんな中、リスティングという1つの土俵だけで戦っていても成果はなかなか伸びないでしょう。競合を避けてロングテールを攻めてみても、検索ボリュームが小さいため表示回数/クリック数共に低い水準で推移するはずです。
ですがインテリアというジャンルはとりわけ主婦層や女性の関心が強いことは周知の事実。であれば、そういう人たちがよく閲覧するブログ内の広告表示エリアにディスプレイ広告を出せれば、アクセスアップに繋がるはずです。
そこで一度比較をしてみましょう。
費用対効果の比較方法
注意!この場合の「費用対効果」とは収益率(=利益、売上)のことではなく、集客率(=コスト面)のことです。
「リスティング広告の予算を増やす」場合と「リスティング広告はそのままで、ディスプレイ広告キャンペーンを追加する」こと、どちらが費用対効果が高いか、です。
この時、1つの指標を追加します。
「自社ウェブサイトと対象の人気ブログ、アクセスが多いのはどっちで、両者にはどのくらいの開きがあるか?」
他者の作ったウェブサイトの正確なアクセス数を把握する術はないので、大雑把でいいです。ブログなら「○○○PV突破!」とか書いている場合もありますよね。
比較した結果、自社サイトよりも相手のブログのほうが10倍も100倍もアクセス数を稼いでいるケースも決して少なくないと思います。なんたってこの場合の比較サイトは「人気ブログ」ですからね。ひとたびバズったブログの集客力はあなどれませんよ。
もしそうであるならば、次のことを考えてください。
検索エンジンで自社サイトのページを見つける人の数と、人気ブログに表示した自社サイトの広告を見つける人の数、どっちが多くなりそうかな?
答えが見えてくるんじゃないかと思います。
広告を出稿する対象を絞り込むことで、インテリアに関連した人気ブログに自社の広告を表示できれば、検索エンジンで自社製品に関連するキーワードを使用した時と同じ目的を持ったユーザーに効果的にアプローチできます。
AdWordsでは、ディスプレイ広告を表示する場所のことを「プレースメント」と呼びます。ウェブサイト内の広告表示エリアだったり、モバイルアプリ内の広告エリアだったりします。
AdWordsのプレースメント設定の方法とアフィニティカテゴリについて
ディスプレイ広告の配信先、プレースメントは、手動で対象サイトのURLを追加する方法もありますが、カテゴリを指定してそこにあてはまるジャンルのサイトに自動的に掲載させる方法もあります。
手動でプレースメントを指定する機会とは、たとえば知り合いに有名なブロガーがいてそこのジャンルと自社製品の親和性が高いとか、過去にAdWordsを運用した結果、効果の高い掲載先を発見した場合などがあります。
いずれにしろ見極めが必要になるため、広告運用が浅い、または今から始める場合は自動でターゲットを選択してもらったほうが良いでしょう。
この「ターゲットとなるウェブサイト」をジャンル分けしたものを「インタレストカテゴリ」といいます。
2017年7月現在のAdWords上では「興味/関心」と表示されている項目です。
Google AdWordsのインタレストカテゴリはいくつかの種類があります。主なカテゴリは2つで、それぞれ「アフィニティカテゴリ(リーチ)」「購買意向の強いユーザー(ROI)」という名前です。もっと自由に、独自のカテゴリを作成したい時に使用する「カスタムアフィニティカテゴリ」もありますが、少々扱いが難しくなります。
よく使う2つのカテゴリの特徴は簡単で、以下のようになります。
- アフィニティカテゴリ(リーチ)
- 「○○に興味関心が高いユーザー層」のようなもの。たとえば、自動車販売会社がアフィニティリーチとして「自動車好き」を指定すると、自動車に関する趣味を持った人などに広告を表示しやすくなる。
- 購買意向の強いユーザー(ROI)
- 「○○を欲しがっているユーザー」のようなもの。たとえば、上記自動車会社がROIを設定すると、自動車を買おうという意欲が高い人にアプローチしやすくなる。
この例でいうと、アフィニティリーチには既に自動車を持っている人も対象に含まれます。よって自動車販売を手がける会社よりも水素ステーションやツーリング、ドライブ関連グッズの販売会社が使うことが多いんじゃないでしょうか。
「興味関心」の方向性によって使い分けることができるので、どちらも扱っている場合は複数のキャンペーンを作ってそれぞれに特化した広告を運用するとより効果が高まります。
ユーザーの意図(利用シーン)を想像してみよう
最初にお話しした家具の販売会社の例をもう一度出します。
この会社が広告を出す目的は、自社で販売する家具を購入してもらうことです。
であるならば、検索連動型広告(リスティング)とディスプレイ広告、どちらを使うのが良いと思いますか?
答えは「両方併用可能」です。よって、費用対効果のところでお話しした「リスティング広告はそのままで、ディスプレイ広告キャンペーンを追加する」ことを検討します。
状況によって、ディスプレイ広告に期待をかけてリスティング広告の予算を削りたくなる場合もあるかと思いますが最初は変更せずにスタートすることをおすすめします。それによってリスティング広告とディスプレイ広告の成果を見比べて、本当にディスプレイ広告のほうが高い効果を出していると判明したら、その時はじめてリスティング広告の予算を動かします。
でないと逆の結果が出た時(=リスティング広告のほうがディスプレイ広告よりも高い成果を出した時)に取り返しのつかない事態となるリスクがありますからね。
種類にもよりますがディスプレイ広告はリスティング広告と比べてクリック単価が極端に安い場合も結構あります。それこそ1クリック10円未満とか。なので最初から数十万、数百万単位で予算を見積もる必要はないかと思います。
ただしディスプレイ広告では配信用のバナーや動画などのコンテンツ制作が発生するため、その費用は別途見積もる必要があります。むしろ配信よりもこちらに費用をかけるべきだと個人的には思います。
話を戻して、目的が家具の販売であるため、おそらくほとんどの人が「購買意向の強いユーザー(ROI)」をインタレストカテゴリに指定して配信することを選ぶでしょう。
ですが、家具って1つ持ってても追加で買いますよね。古くなったとか、気分転換にとか、ペットが爪研いでズタボロにしちゃったとか(笑)
なのでここでもカテゴリを複数併用します。具体的に、「インテリア好き」のアフィニティカテゴリを追加、また生活環境の変化するタイミングで需要が発生するものでもあるため、「家族向け」のアフィニティカテゴリも念のため追加しておいて良いかと思います。
さらにいうと、リスティング広告のターゲティング(こちらは主にキーワード)もこのロジックで考えることで相乗効果を狙います。生活環境が変化した際に需要が発生した場合、ブログ閲覧よりも検索のほうが利用頻度が高そうだと思うのであれば、リスティング広告のキーワードに「入学 机」といった関連ワードの追加を検討してみてはいかがでしょうか。
もちろんこれら追加したインタレストカテゴリは、個別に広告の成果(表示回数、視聴回数、視聴率、平均単価等)を確認できますので、その結果を見て効果が低かったら別のものに変更する、といった継続的な対策さえ行えるのであれば大丈夫です。
また、今回は目的を「商品の購入」としたためクリック単価制(CPC)メインでのお話となりましたが、ディスプレイ広告のインプレッション単価制(CPM)を活用すると、ブランドイメージの向上にも役立てることができます。そのへんも機会がありましたらお伝えしたいですが、今回はここまで。
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