もし、自分がSEOをやっていて一番多く受ける相談は何かと考えるとしたら、即答で「キーワード」と答えます。
・このキーワードで順位が取れない
・このキーワードで競合に順位を抜かれてしまった
・ページ内にもちゃんと含めているのに、このキーワードで検索結果に出現しない
こうした問題はどんなサイト、どんなページであれ発生しているんじゃないでしょうか。
なんとかして順位を上げたいと思った時、最初に調べるのが競合です。そのキーワードでどんなページが評価されているのかを知ることで、そのキーワードを使う人がどんな意図を持っているのかがわかるからです。
目次
実際に上位を取れているページから、「何が効果的だったか」を探す(盗む)方法
これは別に卑怯でもなんでもなく、というか既にやっているところがほとんどではないかと思います。
ゲームだって攻略サイトを見ますし、料理やスポーツだって優秀な人から教わったり、見よう見まねでスタートするものです。いきなり包丁持ったわけじゃないでしょ?
ただ、WebマーケティングやSEO、コンテンツマーケティングにおける問題はどこが効果的かを確かめる術がないことです。
なのでとりあえず片っ端から真似てみようと考えるケースも少なくないかと思いますが、それでは作業量が膨大になり、お金も時間もリソースも消費する上に「どんなに頑張っても競合と”同じ”にしかならない」ため、大きな成果が出るまでにも時間を要するでしょう。
ウェブ上における情報の価値とは「ユニークであること」、これに尽きます。同じではダメなんですよ。
そこで今回は、競合サイト、競合ページを分析する時にどんな部分を見たら良いかという話をしようと思います。
目に見える結果を出しているページの目に見えない部分を盗み取れ!
簡単にいうとこういうことです。
目に見える結果とはいわずもがな、今から狙おうとしているキーワードで暫定1位、または上位のページです。
余談ながら「1位」だけをターゲットにする意味はありません。検索順位は日々変動していますし、インテントも都度異なります。また評価基準も「良いか悪いか」の二択みたいなシンプルな指標ではないため、より多くの情報を多角的に分析する必要があります。
リソースに余裕があるなら1位~10位、または20位くらいまでをターゲットと定めると良いかと思います。
で、実際にそのページにアクセスした後、調べるべきは「目に見えない部分」です。
よくやりがちな失敗としてページのデザインを真似るケースがありますが、これにはほとんど意味がありません。多くの場合部分的なトレースに留まった末に劣化品みたいな細部の詰めが甘い構成になりがちですし、それならと完璧にトレースした場合はDMCA(著作権)の問題などにも繋がりかねませんからね(笑)。
また、現在ウェブページのデザインはプラス評価の基準ではない、と僕は考えています。
これも話すと長くなるので省きますが、個人的にはページのデザインはマイナス評価の基準である可能性があるものと思います。つまり、最も高い評価点が「0点」である、という意味です。
話を戻して、目に見えない部分とはどこのことか、列挙してみます。
- ページの表示スピード
- ユーザーエクスペリエンス
- モバイルフレンドリー
- クローラビリティ
大別すると以上の4つになります。
それぞれどの部分のことか、どこで評価されるのかをご説明します。
チェックポイント①:ページの表示スピード
実はこれは2番目のユーザーエクスペリエンスと同じカテゴリに入ります。
が、特に重要と思うためあえて分類しました。
以前ご紹介したこともありますが、一般的にランディングページは3秒以内、ファーストビューは1秒以内に表示することが理想とされています。
ですがこれはあくまでも理想値。もっというと、「3秒以上かかるから評価が下がる」というものではありませんのでご心配なく。具体的に何秒という決まりはありません。ただ、「早いほうが良い」だけ。
大切なのは「なぜ(早いほうが)良いのか?」です。
その答えも簡単で、誰だって待つのは嫌ですよね。だからです。
つまり、この視点で競合ページを見る際に考えることは「何秒で読み込んだか」や「自社ページより何秒早いか」ではなく、「閲覧時にストレスを感じたか」です。
ただし注意点として、ウェブページの読み込み速度は様々な要因に左右されます。
- ブラウザの設定やプラグインの稼働状況、レンダリングエンジンの仕様
- 検索時に使用したブロードバンド回線のパフォーマンス(キャパシティや混雑状況、障害など)
- (無線の場合)電波強度
- 使用したデバイスのリソース消費率(CPU/メモリのスペックや空き具合等)
- ページキャッシュ
こうした要因があるため、「毎回違った結果になる」ということだけは忘れないでください。1回だけ1秒で開けたから早いと決めつけることに意味はありません。
評価の参考値としてはPageSpeed Insightsが役立ちます。
改善方法は以前紹介した記事をご覧ください。
ページ容量削減のためのステップ1:画像軽量化のイロハ
ページの表示速度を改善する方法:ChromeデベロッパーツールでSEO対策
チェックポイント②:ユーザーエクスペリエンス
エクスペリエンスとは「体験」を意味する言葉です。ゴールド・エクスペリエンスとはジョルノ・ジョバァーナのスタンド名ですが、第5部連載初期の頃は「黄金体験」という日本語が当てられていました。
ここでいうユーザー体験は複数の評価軸を持ちます。
- 確実性
-
検索結果でタイトルを見て気になってクリックした人が探している情報が掲載されているか、クリックした人がスムーズにアクセスできるか、アクセス後に購入やページ遷移等の行動を起こしたい時に迷わずに辿り着けるか等。
また視認性(フォントサイズや太さ、画像のクオリティ、色の使い方等)、操作性(遅延読み込みによるスクロールのカクツキ、リンクやボタンのわかりやすさ、押しやすさ等)も関わってきます。
- 快適性
- 待ち時間が発生しないか、レイアウトが崩れずに表示できるか、ポップアップ等視線や時間を奪う要素がないか、広告が目立ちすぎていないか等
- サービス精神
- ニード喚起できているか、追加情報への興味を抱かせたか、購買意欲を刺激できたか等
まず最も大切なのは確実性です。前述のページ読み込み速度が遅く、ファーストビューすら表示する前に帰っちゃうケース、表示はされても情報不足で帰っちゃうケースがないかを、検索上位のページと自身のページとを見比べて判断します。
自身のページであれば直帰率やページ遷移率を調べるのも有効です。
次に快適性、これも直帰率に関わりますが、次のページ(ECであればカートや関連商品)への遷移を目的として作ったページの場合、狙い通りのページに遷移させられているかを確認します。ヒートマップツールやGAイベントトラッキングを用いて内部リンクのクリック率を見ると良いでしょう。
やたら細かいナビゲーションメニューやフッターを全ページに表示したせいでページ遷移が分散しちゃってたりしないかなど、具体的に仮説を建てて調べてみましょう。
また、仮説と違う答えが出た場合、「なぜそうなるのか」を追求することも大切です。その結果もっと良い改善案が浮かぶこともあります。
そして3番目のサービス精神、これはユーザーの満足度を向上させる上で効果的な考え方です。探していたものが見つかった上に更に知らなかったことまでわかる、というのが簡単な例です。ただし、サイトのジャンルによって見せ方が変わるので注意が必要です。たとえばECの場合、色違いやサイズ違いの製品があることをアクセスしてから知るようでは、それは追加情報ではなく事前の告知不足です。
ユーザーの満足度が順位にどう関わってくるのか、これは検索エンジンの目的を読み解くことで理解できます。
検索エンジンが存在する目的は、ユーザーが求めているものを確実に提供することです。「探す」ことに特化しているから検索エンジンなのです。
であるならば、その評価基準に「このページはユーザーにとって有益だったか」という指標は確実に含まれています。これを評価するには読了率や直帰率、閲覧ページ数、滞在時間、リピート率、訪問経路などを参考にするはずです。
チェックポイント②:モバイルフレンドリー
これはモバイルデバイスを利用している人にとってのユーザーエクスペリエンスと考えて差し支えありません。
ただ単にスマホで閲覧できることを「フレンドリー」と呼ぶわけではないんです。
とはいえ、もはやページ全体が画面に収まらず横スクロールするようなデザインは論外です。
簡単に対応し、簡単に保守運営できることを考えるならレスポンシブ対応しちゃうのが一番だと思います。デザインの幅は少し狭まりますけどね。
また、AMP/PWAの導入も強く推奨します。比較的簡単に導入したいならAMP、技術力があるなら将来性が高いPWAがいいんじゃないでしょうか。
なぜこの2つが大切かというと、モバイル環境はデスクトップに比べてインターネット接続が極めて貧弱だからです。
ちょっと極端な例を出すと、アルミホイル1枚で妨げられるレベル。
常に弱いわけではなく、ほんのちょっとした環境の変化で速度が大きく上下するため、どんな場合でも素早く動作できるページを作ることが肝心です。
また、モバイル利用者は時間がなく、注意力散漫であることも各社の調査で判明しています。時間がない時に3秒も待ってられないし、ダラダラと長い挨拶を読む気力もありません。
読み込みスピードとコンテンツボリューム、導線、各種の配分を調整しましょう。どのくらいにすれば良いのか?それを測る時参考になるのが検索上位の競合ページというわけです。
チェックポイント④:クローラビリティ
これは検索エンジンクローラーにとってのエクスペリエンスと解釈してください。
たとえば、クローラーはソースコードを直接見るので「スクロール」をしません。遅延読み込みの画像が(スクロールをしないせいで)認識されない等、対策はできていますか?
また、ここで最も大切なのはシンタックス(文法)です。要するに必要なところに適切なタグが置いてあり、適切な中身が入っているか。キーワードとしてアピールしたい単語が正確に伝えられているか。このページが何のページかを正確に伝えられているか。
ここで対応を誤ると、本来狙っているものと違ったキーワードで評価されたり、狙ったキーワードで順位が上がらないといった影響が出ます。ユーザーからの評価を得る前段階で躓いている(=狙ったユーザーが来られない)ことになるわけです。
昔は階層構造を作ることでページのテーマ性やカテゴリを伝えていましたが、今は動的にページを吐き出すケースも増えており、階層化できない場合もあります。だからこそ構造化データでパンくずリストをつけるんです。
構造化データは基本的に全てのフォーマットをサポートする、可能な限り多く入れたほうが良いとGoogleは言っています。
これから導入する場合はJSON-LDフォーマットを使うのが良いと思います。ソースコードの他の部分を改変する必要がなく、比較的簡単です。
以下はJSON-LDによるマークアップの例です。
<script type="application/ld+json">
{
"@context" : "http://schema.org",
"@type" : "Product",
"name" : "iPhone X オリジナルケース",
"image" : "https://hogehoge.com/uploads/images/iphone-x-case.jpg"
"description" : "iPhone X用のおしゃれなオリジナルケースのページ。衝撃を吸収し、画面割れを防ぎます。手帳タイプ、TPUケース、プリントなど様々な種類をご用意しました。",
}
</script>
価格等も入れられます。
構造化データに限らず、検索エンジンに情報を正確に伝えることで「ページ」と「キーワード」との関連性を正確に評価してもらえるようになります。
すべては訪問者のために
こうしたSEO対策のノウハウは検索すればすぐに見つかるほど多く出回っています。
肝心なのは、自身のページに何をどれくらい盛り込んで、どこを省き、どんな情報で構成するかを判断する指標です。
正確さに拘った結果文章が冗長になり可読性を欠いているとか、伝えたいことと知りたいことが乖離しているとか、主観と客観の区別がついていないとか、自分ひとり(または所属する組織ひとつ)だけではなかなか気付けないところにも改善点が眠っていることは多いものです。
これを判断する時、既に良い結果を出している上位の競合のページはとても参考になります。そのページに載っている情報が検索インテントに合致している可能性が高いからです。(だから上位に出るんです)
それだけに調べるための「キーワード」を見誤らないことがとても大切になります。スタートから躓いてしまうと全ての努力が水の泡になります。
ペルソナ作り、キーワード調査は一朝一夕でできることではありませんが、経験を積んで精度を上げておかれることをおすすめします。最近はAIを駆使して大量のデータを効率よく分類してくれるサービスもありますし、総当たりでの調査も多少やりやすくなっています。
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